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割れた茶碗を美しくよみがえらせる見惚れる金の魔法「金継ぎ」

お気に入りのお茶碗をうっかり割ってしまったこと、誰でもありますよね?

修復不可能なくらい壊れてしまったら諦めるしかないでしょう。

けれど、ちょっとした欠けくらいなら綺麗に直せる方法があるのをご存じですか?

しかも、日本の伝統ある方法で目にも映える美しい仕上がりです。では、さっそくその「金継ぎ」についてご紹介しましょう。

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見た目も美しい「金継ぎ」の歴史

「金継ぎ」と言う言葉をご存じでしょうか?

陶器がお好きな方なら一度は聴いたことがあるかもしれません。

陶器の割れや欠け、ヒビなどを漆を使って接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法です。金繕い(きんつくろい)とも言われています。

「金継ぎ」と言う名前なので、「金」を使って接着すると勘違いされそうですが、実際に接着に使用するのは漆。

落葉高木の漆の樹液です。これを接着剤とし、装飾として金粉などを用いたため、「金継ぎ」または「金繕い」と言われたようです。

昨今では海外でも「金継ぎ」は「KINTSUGI」と呼ばれ人気が高く、その技術も評価されています。

元々海外では陶器の修繕に、接着剤や専用のパテなどが使用されていました。当然にことながら、継ぎ目がわからないように修復するためです。

しかし、継ぎ目自体を見せる「金継ぎ」は、その独自性からアートとしても認められており、ニューヨークでは道路を舗装するための方法に「金継ぎ」の手法を取り入れる研究が進められていると言います。

また陶器に限らずガラス食器なども修復でき、その手軽さと多様性も人気の秘密のようです。

器の接着技術は縄文時代から?!

ceramics

漆を使って割れた個所を修復したと言う痕跡は、なんと縄文土器にも見られるようで、「継ぎ」の「修復」の歴史自体は、かなり古い時代に遡るようです。

生活するために必須であった修復作業に付加価値が付いたのは、日本の場合、室町時代以降。

蒔絵など、漆を使う工芸技術が発達したのと、壊れた器の修理した痕も「ありのまま受け入れるべし」とする、「茶道精神」の普及により、「見せる」ために修復痕自体に金継ぎを施すなど、段々と芸術的な価値が見いだされるようになり、やがて本阿弥光悦作の赤楽茶碗(銘「雪峰」)のように文化財に指定されたり、骨董として珍重されたりする「金継ぎ陶磁器」も生まれたのです。

継ぎ目にそのまま「金粉」を施すために、予測できない「金の糸」が美しい模様となって、器に映える技巧。手軽に行える行程も長く続く人気の理由と言えるでしょう。

手作業も楽しい「金継ぎ」

kintsugi

陶器のみならず、ガラスなども修復できる「金継ぎ」ですが、実際にどうやって修復していくのでしょうか。

最近では自身で「金継ぎ」をする方も多くようです。先ずは基本の行程をご紹介しましょう。

「金継ぎ」の5つのステップ

「金継ぎ」は本来、以下の5つの段階を経て完成します。

因みに前段階として大切なことですが、「金継ぎ」を施す器と破片は、必ず洗ってから良く乾かすことが必須です。

また、欠けた破片が無くなっている場合などは、その穴埋めとして「異なる器」の陶片を用いて継ぐことも出来ます。これを「呼び継ぎ」と言いますが、行程は同じです。

①破片を接着する

まず、欠けた破片を接着します。漆だけでは塗った直後に接着力がないため、麦漆(小麦粉を漆と水で練ったもの)を割れた個所に塗って、破片を接着します。

②欠けの埋める

漆は厚塗りすると乾きが遅くなります。そのため縮んで表面が平にならない為、漆に米粒や刻苧(こくそ)綿、木粉を混ぜて水を加えた刻苧漆(こくそうるし)で欠けた部分を埋めます。

③凹凸を平らにする

漆に砥(と)の粉と水を加えて練った錆漆(さびうるし)を割れに沿って塗り、乾燥させた後、ヤスリなどで削って平にします。

④下地作り

 金粉の発色をよくするため、弁柄(べんがら)漆(酸化鉄顔料。錆の原料となる)を割れ目に塗ります。

⑤金粉撒き

最期に金粉を撒きます。器の地色が明るい場合、漆の継ぎ目が汚れのように見える場合があるので、その上から金または銀、白金などの金属粉を撒いて磨きます。

修復部分を美しく装飾するためです。銀を用いた直しを「銀継ぎ」、白金を用いた直しを「白金継ぎ」とも呼びます。

初心者には「金継ぎキット」がおすすめ

kintsugi kit

以上、基本の行程はわかりましたが、初心者がいきなり取り組むには難しそうです。

でも、自分でもやれそうな気がするし・・・・もっと手軽に「金継ぎ」を施せる方法はないでしょうか?もちろんあります。それが「金継ぎキット」です。

「金継ぎキット」とは、基本的に必要な材料や道具があらかじめパックになっているものです。

動画や本などでも確認しながら、実際の手作業が可能な便利なものです。代表的なものをご紹介します。

①「金継ぎコフレ」湯淺吉漆店 

金継ぎに必要なもの全て揃ったキットです。漆や砥之粉、金粉の他、作業の助けになるマスキングテープや手袋まで入っており、本格的な金継ぎを手軽に始められます。初心者でも安心して使用できるキットです。

湯淺吉漆店 

URL:https://www.kourin-urushi.com/?mode=cate&cbid=2491892&csid=0

②「TUGUKIT」金継ぎSHOP

金継ぎ教室なども開催しているショップのキットです。こちらも同じく、必要なものは全てそろっていますが、「金」のみと「金、銀」の二つの粉が入っているものと二種類あります。パッケージもお洒落で、長く続けたくなるキットです。

金継ぎSHOP

URL:https://shop-kintsugi.com/

③「簡単金継ぎキット(スタンダード)」金継ぎラウンジ

漆を接着剤にして使用するのがスタンダードですが、こちらのキットは漆を使用せず、合成樹脂をしようしますので、漆に被れる心配もありません。

金継ぎワークショップの時に使う基本材料が入っており、修繕依頼の時にも使用している、プロ用面相筆と、広い面を塗る時に使用する平筆、デザインナイフと替刃などが揃っています。

金継ぎラウンジ

URL:https://kintsugi-lounge.shop/items/5e89bb149df1633935fe0db3

ワークショップも人気

いきなり始めるのは不安と言う方には、ワークショップはいかがでしょう。

元々「金継ぎ」は、「ありのままを美しく視る」と言うのが基本。

欠けた器を自分の感性で美しく見せたいですが、それなら色んな人の感性を身近で感じながらの手作業も刺激があって良いでしょう。

何よりプロの指導の元、不安なことも直ぐに解決するのもワークショップの強味。

「金継ぎ」は人気のジャンルですから、気に入ったワークショップを探してみるのも楽しいでしょう。

仲間が出来れば作品の幅も広がります。思ってもみなかった感性に出会える楽しさもあります。

また、展覧会などを行うワークショップであれば、是非出品してみましょう。

誰かに作品を見てもらうことは、励みにもなりますし、同時に色んな作品を見ることで目が養われます。「金継ぎ」は人によって様々に形を変えるものです。楽しみが増えるでしょう。

金が映える「模様」になる土器の美しさ

「金継ぎ」の美しさは、なんと言っても自然な割れ目の筋に「金粉」を施すことで出来る「偶然の美」です。

その模様を自分の感性で創り上げるのも楽しい作業です。

自身の手を使って、壊れたものを新しく蘇らせることが出来るなんて、ワクワクしますね。

キットを使えば簡単に取り組めますし、お子さんがいるご家庭では食器が割れることも多いでしょうから、お子さんと一緒に割れた食器を修復するのも楽しいですね。壊れたものを修理して再生させる大切さを学べます。

是非、「金継ぎ」に一度トライしてみてください。

rihokomuto
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