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時間の流れを視覚的に描いた映画『TENET』【クリストファー・ノーラン監督おすすめ作品も】

time lapse photography of blue lights

この世には目で見えぬものがいくつもあります。

例えば、生命活動に必要不可欠な酸素。こちらも目に見ることができません。あるいは、素粒子。こちらは物質の最小単位であるため、まず見ることはかなわないでしょう。

その中でも、「時間の流れ」というものは、肌で実感しながらも決して視認することはできません。

2020年9月。

「時間の流れ」を描いた作品が映画館で公開されました。それがクリストファー・ノーラン監督による映画『TENET』です。

クリストファー・ノーラン監督といえば、「夢の中の世界」など、様々な事象を視覚的に表現してきた映像作家。

そんな彼が「時間の流れ」というものに挑戦した作品。それが『TENET』なのです。

目に見えなくとも、確かに存在するものがこの世にはいくつもあります。本記事では「時間の流れ」を視覚化した『TENET』の紹介と解説を行います。

さらに、クリストファー・ノーラン監督のおすすめ映画も厳選して紹介しますので、ぜひおうち時間に映画鑑賞してみてはいかがですか?

視覚芸術!おすすめ映画はこちらから!タグ【映画】一覧

映画『TENET』あらすじ

(Rotten Tomatoes『TENET』レビュー)

Amazon Primeビデオ

満席で賑わるウクライナ・キエフのオペラハウスで未曾有のテロが発生。

彼らの目的は、「プルトニウム」を奪取したCIAのスパイを暗殺することでした。

テロを鎮圧する特殊部隊に交じり、オペラハウスへ潜入したCIAの工作員「名無しの男」。

スパイの救出に成功しオペラハウスの爆破を防いだ彼は、その直後に謎のロシア人に捕らえられてしまいます。

ロシア人から拷問を受ける「名無しの男」は、情報漏洩を防ぐため、自ら自決用の毒薬を飲み込みます。

その直後、見知らぬ場所で目を覚ます「名無しの男」。

自決用の毒薬はただの睡眠薬であり、先の任務は彼を試すためのテストだったと、「フェイ」と名乗る謎の男から明かされます。

彼から託された任務は想像を絶するものでした。

それは「アルゴリズム」と呼ばれる、未来からの装置を巡る戦い。

「アルゴリズム」を通した物体や人は、全て時間が逆に進むという謎の性質を持っていると語られます。

「名無しの男」は、オペラハウスの任務の時、弾丸が逆に進むのを目撃していました。

それが「アルゴリズム」の効果なのです。

「名無しの男」は、「アルゴリズム」の謎を探るため、協力者のニールと共にインドのムンバイへと向かうのでした。

巡行と逆行で対比する時間の見える化

panning photo of yellow car
Photo by Alex Powell on Pexels.com

本作のジャンルをあえて定義するならば「時間SF」でしょう。

本作では「アルゴリズム」という装置を使って時間を遡ることができます。アルゴリズムを通ると、逆行した時間の中を進むことができます。

もう一度アルゴリズムを通れば、巡行した時間に戻ることができます。逆行した時間の中では、はじまりと結果が全て逆に進みます。

波紋が揺らぐ水たまりを踏むと波紋が収まり、銃を撃とうとすると弾丸が銃の中に納まります。

結果と原因。すなわち因果が逆転しているのです。

つまり、逆行中だと、自分とアルゴリズムを通したもの以外、全て逆再生しているかのように進みます。

逆に巡行の時に逆行しているものや人を見ると、逆再生しているかのように進みます。巡行と逆行は同時に存在することができるため、常に時間の流れが巡行と逆行で対比することができます。

逆行の時は巡行が、巡行の時は逆行が時間の流れとして明確に視覚化されています。

時間の視覚化に挑戦した作品。それが『TENET』なのです。

巨匠クリストファー・ノーラン監督の世界

クリストファー・ノーラン監督と言えば、SF作品やアメコミヒーロー作品を写実的なトーンに落とし、撮影することで知られる映画監督です。

代表的な作品には『ダークナイト』や『インセプション』などが存在します。

そんなクリストファー・ノーラン監督の特徴としては、あまりCGなどのVFXを使用せず、リアルな映像に拘るというところです。

例えば、『TENET』には大きな旅客機が格納庫に突込み、爆発炎上するシーンがあります。

現代では多くの映画監督がCGで済ませそうなこのシーンを、クリストファー・ノーラン監督は実際の旅客機を使い、格納庫に突込み爆発炎上するシーンを撮影しました。

また、『TENET』のアクションには巡行の人と逆行の人が同時に戦うシーンが存在します。

その奇妙な映像も、俳優とスタントマンが協力することでCGを使わずに完成させています。

クリストファー・ノーラン監督の作る映像は、CGに出せない、リアルな情報量に溢れているのです。

クリストファー・ノーラン監督おすすめ作品4選

インセプション(2010)

(Rotten Tomatoes『インセプション』レビュー)

Amazon Primeビデオ

インセプションはクリストファー・ノーラン監督によるSFアクション映画です。

夢の中の世界に潜って情報を盗み出す産業スパイを描いた作品で、クリストファー・ノーラン監督は本作で「夢の中の世界」の視覚化に挑戦しています。

ビルの一つ一つが大きく意思を持っているかのようにうねり、反転したり歪んだりする夢の中の映像は、まさに視覚を強く刺激します。

そんな本作はアカデミー賞で撮影賞、録音賞、音響編集賞の他、視覚効果賞を受賞しました。

夢の世界を視覚化した映像は、強烈なインパクトの残るものとなっています。

誰もが一度は考える「もし誰かの夢の中に入れたら?」ということを描いた本作は、クリストファー・ノーラン監督の代表作の一つとして数えられています。

ダークナイト(2008)

(Rotten Tomatoes『ダークナイト』レビュー)

Amazon Primeビデオ

バットマンと言えば、世界的人気を誇るアメコミヒーローとして知られています。

アメコミヒーローと言えば、かつてはどちらかと言えばティーン向けで、ファミリー層が楽しむ映画でした。

そんなイメージを完全に覆したのがクリストファー・ノーラン監督がバットマンを描いた映画『ダークナイト』です。

リアリティを重視するクリストファー・ノーラン監督は「もしバットマンが現実の世界に存在したら?」というテーマを実現させました。

ダークで重厚感に溢れ、善悪の彼岸を描いたストーリーは多くの観客を虜にしました。

『TENET』で時間の流れを視覚化し、『インセプション』で夢の中の世界を視覚化したクリストファー・ノーラン監督は、『ダークナイト』でバットマンというヒーローを視覚化しました。

インター・ステラー(2014)

(Rotten Tomatoes『インターステラー』レビュー)

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現在、Space X計画の一環として、トム・クルーズを宇宙に打ち上げて実際に宇宙でアクション映画を撮影する企画が進んでいます。

しかし、そうでもしない限り、多くの映画監督は宇宙の実際の映像を撮影することはできません。

つまり、映画で宇宙を描くには自らの手で視覚化するしかないのです。

クリストファー・ノーラン監督がそれを実現させたのがSF映画『インター・ステラー』です。

リアリティを重視し、徹底的に取材を重ねた宇宙の映像は、多くの学者をも唸らせるような映像に仕上がっています。

ダンケルク(2017)

(Rotten Tomatoes『ダンケルク』レビュー)

Amazon Primeビデオ

過去の映像は見ることはできても、新たに撮影することはできません。

それこそ、『TENET』のように時間を逆行しない限りは。しかし、新たに作り出すことはできます。

クリストファー・ノーラン監督が第一次世界大戦を描いた作品が『ダンケルク』です。

ダンケルクは史実を元にした戦争映画。

この作品では、ダンケルク海岸で実際にあった撤退戦を描いています。

クリストファー・ノーラン監督特有のリアリズムが、第一次世界大戦の視覚化に成功しました。 リアルだからこそ、戦争の恐ろしさと平和の尊さが骨身に染みる作品です。

まとめ 視覚の結びつきを強める映像体験

スクリーンの中で展開される物語は所詮はフィクション。

しかし、リアルであればあるほど、それは他人事ではなくなり、多くの観客が感情移入します。

一方、目に見えぬもの、現実には存在しないものはファンタジーであり、他人事です。そういったものを視覚化してきたのがクリストファー・ノーラン監督です。

ファンタジーを視覚化し、まるでそこにあるかのようにリアリティ抜群に描く。

クリストファー・ノーラン監督は、ファンタジーに感情移入させることのできる、唯一無二の映像作家だといえるでしょう。

ぜひ、この機会に彼の作品をみてみてください!

rihokomuto
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