Eye Sight

矢印や線の錯覚!視覚が惑わされる様々な矢印、線の錯視

私たち人間は目で見て感じ取ったものが、実際には違っていたりすることがあります。

それを錯覚または、視覚による錯覚であるので錯視といいます。

自分ではしっかり見えているつもりでも、実は正しく認識されているとは限りません。

そしてそれは社会のあらゆるところに存在し、中には有効活用されているものもあります。

トリックアートなど、錯覚そのものを楽しむエンターテイメントなイラストやコンテンツもありますね。

今回はそんな目の錯覚の中でも、読者の皆さんもよく目にするであろう「矢印や線」の錯覚について考えていきたいと思います。

人間の目がどうして錯覚をおこしてしまうのか、またどんな錯覚が発見されているのか。この記事を読み終わった後、色々調べてみたくなるはずです。

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視覚が惑わされる様々な錯覚!その仕組みとは?

オーソドックスな錯覚、矢印の錯視ってどんなもの?

錯視

視覚によって起こる錯覚、これを一般的には錯視といいます。

そして、錯視とは目や体に異常がないにも関わらず、見えているものが実際のものとは違って見えてしまうことです。

いったいなぜこんなことが起きてしまうのでしょうか?

この項では錯視の発見とその研究の歴史、そしてなぜ錯覚が起きてしまうのか、ご説明します。

近代的な研究の始まり

近代的な錯覚や錯視の研究が始まったのは19世紀の中ごろのドイツです。

最初に発見されたのは、線の錯視でした。

縦線と横線は同じ長さであるが、縦線のほうが長く見えるという「フィック錯視」です。

フィック
出典:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

その後、次々と発見・発表され、20世紀にはそれら発見された錯視を詳しく分析する時代になります。

そうして21世紀間近になったころから、コンピュータの発達もあり錯覚や錯視に関する新発見が相次ぐようになります。

また錯視は、それを研究することで視覚に関するさまざまな謎や疑問、メカニズムが解明される、と期待されています。

よく間違われるのですが、視覚情報処理の研究は目の構造の研究だけではありません。

脳が行う情報処理のメカニズムを明らかにすることで、脳、つまり人を理解する研究でもあります。

目や脳、ニューロン、そして、それら同士のかかわり方などなど…心理学者だけでなく、神経生理学者、数学者などと共同で研究を進めるケースも多く見られます。

なぜ錯視が起きるのか?

ではなぜ、錯覚や錯視は起きるのでしょうか?

全てに対しては明確な答えは出ていませんが、少しづつわかってきたこともあります。

錯覚や錯視が発見されてから、様々な研究が行われ目以外にも原因があるのではということがわかってきたのです。

その一つには、優秀すぎる脳の機能がおこしてしまう場合もあることがわかっています。

脳は視覚からの情報を得て、色々な学習をしていきます。

そしてそれを繰り返すことで、やがて目に入った瞬間に自動的に答えを導き出せるようになります。

この機能は通常の知覚に関しては最適化されていますが、錯視を起こしやすい矢印や線、図形などでは、この最適化のクセによって間違った答えを出してしまうのです。

つまり、錯視を起こすということは人の目や脳が優れている証拠でもあるのです。

仮に、もし脳にこの機能がなければ、単純なモノを認識するのにも時間がかかってしまうでしょう。

矢印や線の錯覚の代表的な例

では、ここからは有名な矢印や線の錯視について見ていきたいと思います。

どれも一度は見たことがあると思いますよ。

  • ミューラー・リヤー錯視
  • ツェルナー錯視
  • ポンゾ錯視
  • ヘリング錯視
  • ヴント錯視

ミューラー・リヤー錯視

ミュラーリヤー
出典:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

上の図はミュラー・リヤー錯視と言われている有名な錯視です。

誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?ドイツの心理学者ミューラー・リヤーが1889年に発表した錯視です。

矢印が発生している間の長さは先端同士は同じ長さですが、なぜか上の方が短く見えてしまいます。

これには三次元、奥行きの認識が関わってきます。

二つの線の奥行きが違うと処理してしまっているのです。視覚から得た情報を元に、上の方がコーナーが出っ張ていて、下の方がコーナーが奥に引っ込んでいると捉えてしまいます。

すると脳の機能は「それぞれ奥行きが違うのだから上下の平行線の長さも違うはずだ」と計算をして錯視が起きてしまうのです。

また、この錯覚を応用したものとして、ジャッドの図形というものもあります。

ジャッドの図形は、線中央に中点を打ち、両端に異なる向きの矢羽を付けると、外向きの矢羽が付けられた側に中点がずれて見えるという錯覚が用いられた図形です。

 このような錯視を「大きさの錯視」といいます。

H3:ツェルナー錯視

ツェルナー
出典:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

上の図はツェルナー錯視と言われている、これもまた有名な錯視です。

ドイツの天体物理学者カール・フリードリッヒ・ツェルナーが1860年発見したとされています。

上図では、黒の長い線は平行には見えません。

ですが、実際には平行なのです。

錯視のポイントは短い線と長い線の交わる角度にあります。この角度は長い線の一方の端が、反対側よりも自分に近いという印象を与えてしまっているのです。

このことは後述するヴント錯視と似たものがあり、ツェルナー錯視は奥行きの印象によって生じる錯視ではないかとされています。

H3:ポンゾ錯視

ポンゾ
出典:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

上の図はポンゾ錯視と言われている図形です。

イタリアの心理学者マリオ・ポンゾによって1913年に報告された錯視です。

ポンゾは「人間は物体の大きさを背景に依存して判断している」ことを示したとされています。

このことは長さの等しい二本の線を、線路のように収束する線の上に描くことで示しました(上図左の図)。

上の線が長く見えてしまうのは平行線が遠くへ向かっているという遠近法に基づいて、上の線を解釈しているからになります。

上の線はより遠くにあるため長く見える、と遠近法的解釈をしてしまうのです。ポンゾ錯視の仕組みには諸説ありますが、この線遠近法説というのが有名です。

右の図はその応用になります。

収束している方向へ遠近法的解釈をしてしまい、同じ大きさの縁が違う大きさに見えてしまうのです。

H3:ヘリング錯視

ヘリング
出典:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

上の図はへリング錯視と言われている図形です。

ドイツの心理学者エヴァルト・ヘリングにより1861年に報告されました。

横に並んでいる長い線は平行なのですが、中央から外へ引っ張られて滑らかに歪んでいるように見えます。

ヘリング錯視の原因は、長い平行線と中央から伸びている放射線との間に生じる角度の対比効果(鋭角の過大視)であると考えられています。

この仮説によれば、線と線の各交差点で生じる対比効果の結果が統合され、横の平行線が全体として滑らかに歪んで見えるのです。

古くから知られている幾何学的錯視の多くは、こういった対比効果によるものが多くあります。

H3:ヴント錯視

ヴント

上の図はヴント錯視と言われている図形です。

ドイツの心理学者ヴィルヘルム・ヴントによって19世紀に報告された錯視です。

ヘリング錯視と違い今度は長い線は平行線が中央側に引っ張られて滑らかに歪んでいるように見えます。

ヴント錯視もヘリング錯視の原因と同じく、長い平行線と中央から伸びている放射線との間に生じる角度の対比効果(鋭角の過大視)であると考えられています。

ヴント錯視の別のバージョンは、水平垂直錯視(Horizontal-Vertical Illusion)といい、別名フィック錯視になります。

ヴントはこれを1858年に報告しました(フィック錯視はフィックが1851年に発見されたとしているため名称はフィック錯視となっている)。

交差する2本の線は同じ長さであるが、垂直線のほうが長く見えます。

水平線と垂直線が同じ長さに知覚されるためには、水平線の長さを30%程度まで長くする必要があるそうです。

この錯視は単純な線図形だけに生じるのではなく、建物やパーキングメーターなど他の物体でも生じる錯視です。

まとめ

今回は線や矢印によって生じる目の錯覚、錯視について紹介させていただきました。

比較的簡単に利用できることから様々な場所で活用されています。

例えば道路や鉄道駅内の標識であったり、看板デザインや商品のデコレーションパッケージであったりと様々です。

錯視が起きることは目と脳の機能が正しく機能している証拠であります。優秀な機能だからこその錯視、それも仕組みを理解できれば楽しむこともできますね。

皆さんも身近にある錯視を探してみてはいかがでしょうか?

rihokomuto
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