Eye Sight

視覚障害を描いた傑作として名高い映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992)

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マスクに手洗い、ソーシャルディスタンスに緊急事態宣言…

新型コロナウイルスの影響で、”健康”について多くの関心が集まり、NetflixやAmazonプライムでは、「アウトブレイク」(1995)や「コンテイジョン」(2011)などの旧作映画に再び注目が集まりました。

本記事では”健康”を一つのテーマにした映画の中でも、さらに”失明”を描いた映画をご紹介します。

ヒューマンドラマの傑作とも呼ばれるこの作品を通し、日頃わたしたちがめったに意識することのない「視覚の大切さ」を感じてみてはいかがでしょうか?

(※この記事は映画のネタバレを含みますのでご注意ください。)

どんな映画?『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』

(Rotten Tomatoes『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』レビュー)

Amazon Primeビデオ

この映画は、『ゴッドファーザー』などで知られる名優アル・パチーノの代表作です。

ほとんど瞳を動かさない、真に迫る盲目の演技が話題となりました。

本作のテーマは、「失明と絶望、そして再起」。

盲目で初老のフランク中佐(アル・パチーノ)と名門寄宿学校に通う苦学生のチャーリー(クリス・オドネル)の2人の凸凹コンビのやりとりに心温まる、ハートウォーミングムービーです。

口が悪く、気難しい人物と噂のフランク中佐。

ボストンにある全寮制の名門高校に通う苦学生のチャーリー(クリス・オドネル)は、裕福な同級生に負けじと、それなりに学生生活をエンジョイしていましたが、感謝祭休暇中に、盲目であるフランク中佐の世話係のアルバイトに申し込みました。

早速出勤したチャーリーに、フランク中佐は唐突に「感謝祭はNYで過ごす」と言いだします。

こうしてチャーリーは中佐の付添人として、マンハッタンへ旅立つことになるのですが、中佐の旅の本当の目的とは…?

フランク中佐の絶望と人間的魅力

ニューヨーク

There’s no prosthetic for that. 

(潰れた魂に義足はつかない)

口が悪く、怒りっぽいフランク中佐が最後に魅せるスピーチは、映画史に残る名演説として語り継がれています。

本作では、フランク中佐のその粋な名言の多さから、「こんなご時世だからこそ、観たい映画」としても定評があります。

雄々しい性格で怖いもの知らずに見えるフランク中佐ですが、実は、盲目になったことに対する深い絶望を抱えています。

物語の途中では、フランク中佐が盲目になったのは、酒の席で自らハメを外しすぎたことが原因と判明。視覚を失うことと同時に、過去の数々の失敗を後悔し、自分自身に失望していました。

What life? I got no life! I’m in the dark here! You understand? I’m in the dark! 

(おれに人生が? 人生がどこにある? あるのは暗闇だ! 分かるか? すべて暗闇だ!)

フランク中佐のこの旅の最終目的は自殺でした。

純粋無垢なチャーリーは、そんな彼からの無茶振りに、翻弄されながらも、次第に生きる術を学んでいきます。

そして、フランク中佐もまた、ピュアな青年チャーリーから、生きる意味を教えてもらいます。

フランク中佐:…Give me one reason not to 

(おれに生きねばならない理由がひとつでもあったら言ってみろ!)

青年チャーリー:I’ll give you two, You can dance the tango and drive a Ferrari… better than anyone I’ve ever seen.

(ふたつ言えます。あなたは僕がこれまでに会った誰よりも、タンゴとフェラーリの運転が上手だ!)

 フランク中佐:Oh, where do I do from here, Charlie? 

(これからおれはどうやって生きていける、チャーリー?)

 青年チャーリー:If you’re tangled up, just tango on.

(たとえ足が絡まっても、踊り続けてください。)

本作は失明という出来事が、自らの人生を大きく変えてしまい、先の人生の希望さえも失ってしまうこと、そこに生まれる心の痛みを、迫力をもって観る者に伝えています。

そして、一度心の目を閉じてしまった人も、再度開くことができる(希望を持つことができる)ということを、暗示してもいる作品でもあります。

結末がどうなるのかは、是非映画を見てみてください。

ちょっと意外かもしれませんが、スカッと爽快感あるラストが待っているのもこの映画の魅力です。

視覚の大切さがひしひしと心に伝わってくる熱い映画です。

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『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』Tips

退役軍人フランク中佐を演じたアル・パチーノは、8回目のノミネートになった本作で念願のアカデミー賞主演男優を受賞。

ベテラン俳優の卓越した演技と、世代を超えた男同士の友情がみどころ。フランク中佐とタンゴを踊る美女を演じたガブリエル・アンウォーは当時21才。

若き日のアンウォーと中佐がタンゴを踊る場面は名シーンとして知られ、本作に華々しい明るさを与えています。

「視覚の大切さに気がつく映画」を見てみよう

見えることが当たり前となっているわたしたちにとって、特別意識を向けることがない「視覚」。

もし今、自分が視覚を失ってしまったとしたら…?

今回ご紹介した作品は、視覚という「極めて大切なもの」を失う体験を通して、その価値を見直すきっかけとなる作品です。

外出自粛が続く今、一度映画を通して、視覚について考えてみませんか?

視覚芸術!おすすめ映画はこちらから!タグ【視覚と映画】一覧

rihokomuto
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